公益財団法人日本郵趣協会発行の「郵趣」で連載を担当している、「一番切手に魅せられて」の記事に掲載した切手をカラーで紹介します。
「郵趣」2013年7月号の目次はこちらからご覧頂けます。
今回は1960年7月1日に発行された、ソマリアの一番切手とその5日前の6月26日に発行されたソマリランドの切手を紹介しています。
「郵趣」を購読していない方もいらっしゃいますので、説明を。
現在のアフリカの国々は大部分が植民地の行政区分毎に独立していることが多いのです。一部の国々で宗主国(支配側の国)が違っていても合併した国もありますが、一部の領土が分かれて別の国と統合するケースがほとんど。その中で、ソマリアはイギリス領とイタリア領が合併する形で独立した珍しい経緯を持ちます。
実際は、イタリア領側の勢力が優位になる合併だったため独立後から北部を中心に不満が生じ、1980年代には内戦に突入。現在の無政府状態や周辺海域での海賊行為などに至る原因になっています。
そして、内藤陽介さんの著書「マリ近現代史」の書評も書かせて頂くことになり、ページの校正で偶然なことに見開きの4分の3が私の文章で、アフリカの話題になることに…。
それでは、切手を紹介していきます。
イギリス領ソマリランドの一番切手。1903年発行。
イギリス本国ではなく、イギリスの統治していた時代のインドの切手に加刷している所が好きです。
イタリア領ソマリランドの一番切手。1922年発行。
イタリア領ソマリランドも1903年から切手を発行していますが、最初の頃は「BENADIR」という国名表記。国名だけでは分かりにくいので、「イタリア領ソマリランド」と表記された切手を選びました。
「5日間だけのソマリランド」で発行された「一番切手」。
このやっつけ仕事と言わんばかりの独立切手の後にきちんとした切手を発行すべきなのですが、5日間だけの独立ではその必要は無い訳で…。
「ソマリランド」は今も存在しています。「無政府状態」と言われているソマリアのうち、旧英領の部分は既に独立した状態になっていて「ソマリランド」の名前を使っています。しかし、国際社会では認められてはいません。2011年に「日本ユニセフ大使」が訪問した「ソマリア」はソマリランドだったりします。
そして、最後にソマリアの独立切手。
独立日に正刷の切手を発行しているので、事前に準備されています。
この発行形態から見ても、イタリア領側の南部の優位性が見えてしまいます。