2012年7月18日鹿児島県南九州市に、全国で唯一となるオートレースの場外車券売場「オートレース川辺」がオープンしました。
オープン日が公休日と重なったため、オープニングセレモニーに参加してみました。
場外売場の設置場所の南九州市長、場外売場を管轄する福岡県飯塚市の市長をはじめ、オートレースの選手2名森且行選手と佐藤摩弥選手の2名がテープカットして、華々しい幕開けを祝いました。
選手の写真撮影とサインが了承され、ここで、来場していた一般参加者は大きく二手に分かれる事に。
「選手のサインが欲しい派」と、「賭けてみたい派」の二通りに。今回は嫁さんも同行していたので、私は嫁さんは森選手に、私は佐藤摩耶選手にサインを求める事にしました。
森且行選手はご存じの方も多いと思いますが、元SMAPのメンバー。1996年にSMAPを辞めて、オートレーサーに転向。オートレーサーに転向しても頭角を現し、今ではオートレースの広告塔的な存在で人気、実力共にある選手となっています。
佐藤摩弥選手は、久しぶりの女子レーサーです。
サインは封筒にも書いて貰い、最寄り局2局で記念押印してもらいました。
「オートレース川辺」で最初に車券が販売されたレースは山口県山陽小野田市にある「山陽オートレース場」で開催の「第3回JR西日本広島メンテック杯」で、1レース目は「祝!川辺場外オープン1R」として場外売場のオープン飾っていました。特筆すべき事として、第一レースの2枠には、鹿児島県出身の「馬見塚 力夫(まみづか りきお)」選手がエントリーされていて、秘かに地元での開催を祝っています(馬見塚選手の出身は鹿児島県北部の阿久根市)。馬見塚選手は途中まで先頭を走ってはいたものの、途中で力尽き残念ながら7位の成績で終わりました。
第一レースが終わり、場外車券売場を出て郵便局へ訪問し押印しようと思った矢先に、ハプニング発生。車を動かすと、いつも生じない音が。何と、車から降りて四方を見渡すと、タイヤがパンクしていました。タイヤ交換の要領は覚えていますので、ジャッキを用意してナットを外そうと思ったら、ナットの周りの穴が小さくて、純正のレンチが入らない。今のホイールに替えてから初めてのパンクだったので、確かめていないのが原因でした。
こうなれば、ロードサービスを呼ぶのみ。加入している自動車保険のロードサービスを頼んだのは良かったのですが、頼んだ後に時計が11時20分を指していたので愕然とすることに。
ロードサービスが来るのは鹿児島市内。現場まで来て作業が終わる頃には、12時を過ぎてしまいます。記念押印はできる限り8-12の時間帯で押したいという気持ちが沸き上がってきて、行動に移しました。
客待ちのタクシーも無くバスも走っていない状況のなので、歩く事にしました。カーナビで郵便局までの距離が1.5Kmと出ていたので何とかなると思いました。
歩き始めたものの、やはり道が長い。
途中、道が間違えているかもしれないと思い、筋を一本入った集落で道を尋ねた時に、幸運がやって来ました。
「郵便局まで行くのだったら、この自転車を使いなさい」と道を尋ねた年輩の女性の方に勧められました。断ろうとしても、使わないといけない雰囲気なので快く借りる事に。
自分の体に合っていないサドルの位置だったので、立ち漕ぎで一生懸命山奥の田園地帯を神殿郵便局めがけて疾走しました。
用意していた切手に切手を貼り、神殿郵便局の人に「後から来ます」と名前と電話番号を伝えて押印依頼。すぐさま道を尋ねた女性の家まで急いで戻り、到着したところで、ロードサービスの人から電話が。女性にお礼を伝え自転車を返し、駐車場まで戻りとりあえず、緊急タイヤに交換。神殿郵便局に戻り封筒を受け取った後、近くにある(と言っても、5~6キロ離れた)ガソリンスタンドでパンク修理を依頼し、元々のタイヤに戻しました。
気を取り直して川辺郵便局で風景印を押印依頼し、押印は終了しました。
サイン入りのカバーを観て、両方の郵便局で「何人くらい入っていたの?」とか「勝ちましたか?」といった質問攻めに遭ったのは言うまでもありません。
本当はあと何ヶ所か行きたい場所に立ち寄るつもりだったのですが、熱中症の手前の状態になったせいか、自転車を漕ぎすぎたせいか定かではありませんが、ヘトヘトになってしまったため、途中食事を済ませ自宅に帰る事にしました。
最後に、まじめなお話を。
今回のオートレースの場外車券売場に関しては、幾つかの課題を抱えている事をお伝えしたいと思います。
(1)公営競技の赤字
オートレースは、全国で6会場と他の公営競技と比べて少ないため、ファン人口が一番少ないと言っても過言ではありません。また、公営競技全体もファン人口も減少が止まらない現状。
オートレース場を開催している各自治体は、イベントを開催したり他のレース場で開催しているレースの場外販売を行ったりと運営上では工夫を行っていますが、赤字運営に苦しめられている所が多数です。各競技場を運営している自治体では議会で廃止の論議も行われる事もあります。経営状態の改善のため、小型自動車競争法で車券の(1レースで掛けられた総額に対する)払い戻し率の変更が行われ、2012年6月までの間に今までの75%から70%に変更されています。
(2)再挑戦の場外車券売場
また、冒頭で「オートレースでは唯一の」という表記には、昔の「触れられたくない過去」についても述べないといけません。1999年に新潟県魚沼市に「アレッグ越後」という場外車券売場がオープンしたものの売上が経費に追い付かず、僅か4年で閉鎖する事に。
実は、「オートレース川辺」のオープンはオートレース界にとっては「二度目の場外車券売場への挑戦という」大きな役割があります。たまたま隣にいた来場者が「これじゃぁ、4~5年持てば良いだろうな」という言葉を発していましたが、これを払拭させなければならない義務を負っています。
(3)公営競技のメッカ
鹿児島県内には公営競技の開催は行われていませんが、今回のオートレース川辺のオープンにより、競馬、競艇、競輪、オートレースと全ての公営競技の場外売場が揃う事になりました。そして、場外売場の数も11ヶ所に。
しかしながら、場外売場の増加がパイの奪い合いが生じてしまう事に。実際、鹿児島県内にオープンした場外売場のうち、2ヶ所が閉鎖されています。
自治体が場外売場の受け入れに前向きなために、数が多くなったという側面もあります。自治体に協力費や固定資産税が入る事になり、地方交付税の交付は少なくなる反面、一般企業の工場誘致のように固定資産税の減免が必要なく、財政面でメリットが生じます。
設置する場所によっては、人口が減少している集落に誘致する事で、地元の雇用促進や、地元の情報発信によって人口減少を抑制しようという思惑もありますが、実際に効果として現れるかは今後を注目する必要があります。
■参考資料
オートレースホームページ http://autorace.jp/
南日本新聞7月19日付26面、7月20日付24面「ギャンブル王国かごしま 公営4種そろい踏み」
産業構造審議会車両競技分科会 車両競技活性化小委員会報告「オートレース再生集中期間における取組について」