上の切手はフィンランドから2000年に発行された、ラリードライバーのトミー・マキネンがWRC(世界ラリー選手権)
で4年連続ドライバーズチャンピオンになったことを記念して発行された切手です。
描かれている車を見てお分かりいただけるかもしれませんが、日本とも非常に関係ある切手になっています。
描かれている車が三菱自動車のランサーエボリューションVIです。
この切手、ラリーの緊迫感もありますし、
右側の切手の車の上の部分にはラリーを行ううえで必要なペースノートをさりげなく載せていたりしています。
ペースノートとは、レースで走るコースの状態を記載したメモになります。ラリーの場合、F1などの専用コースを周回するのではなく、
私たちが日頃通っている一般道を100キロ以上の高速スピードで走行するため(一部分で専用コースを走るときもありますが)、
その場その場で判断が難しくなります。そのため、細かい道路の状態を記載してドライバーが先の状態を予測しながら運転し、
高速走行していても安全に運転できるようにしているのです。
レースの直前にドライバーとコ・ドライバー(ナビゲーター)が一緒にコースを走り(レッキ走行と言います)、
道路のカーブや起伏の状態をペースノートに記録しておきます。レース本番には、シートの右下に描かれているコ・
ドライバーがペースノートをレース中に読み上げ、ドライバーにコースの状態を伝えます。コ・
ドライバーが読み上げるペースノートは読み間違えると、大事故にも繋がったりしますのでかなり重要な役割になります。
右上の数字は彼が4年間のドライバーズチャンピオンになった年号を記載しています。
ところどころにさりげない演出で重要な部分を押さえているデザインになっています。
自動車レースに参戦する車には一定の決まり事がありまして、
WRCの場合は当時は市販車で2000ccの4WDで年間2500台以上販売されている事という決まりがありました。
これをWRCの規定ではグループAと言います。グループAで参戦していた車は、お金を出せば私たちが手に入れる事ができました。
「お金を出せば」と言っても、高級車1台よりちょっと安い金額です(日本だから、この金額というのもありますが)。
1990年代に入ってから、このグループAで参戦した三菱のランサーエボリューションやスバルのインプレッサ、
トヨタのセリカといった、日本車が活躍する時期がありました。この切手が発行された頃が最後の集大成といった時期になります。
彼の偉業をたたえて、三菱自動車では彼が操縦していたラリー車のベースとなったランサーエボリューションVIに「トミー・マキネン・
エディション」という限定バージョンを販売したくらいです。(もともと、車自体の存在が限定されたものですが)
90年代後半にWRCの車両規定に新しい規定が出来ました(WRカー)。この規定では、
駆動系の改造やエンジンの載せ換えといった市販車からの大幅な改造が可能となりました。WRカーの規定を採用され始めてから、
ヨーロッパのメーカーも参戦して以来、日本メーカの勢いが無くなりました。
その最後のひと花を咲かせたのがトミー・マキネンの乗ったランサーエボリューションVIでした。
なぜ、このようなモータースポーツの偉業が切手になったのかといいますと、フィンランドはモータースポーツが盛んな国なのです。
ラリーでは、ラリー・フィンランドという、WRCの公式レースが昔からありました(昔は千湖ラリーと呼ばれていた)。また、
フィンランド出身のラリードライバーではトミー・マキネン以外にもユハ・カンクネンやマルクス・
グロンホルムといった人や日本で人気のあるF1でもミカ・ハッキネンやキミ・ライコネンがフィンランド出身なのです。
そのようなお国柄なのでしょうか、凝ったデザインになったのでしょうね。
余談ですが、
年に何回か切手商の対面販売で切手を購入する機会があります。ここ数年、「本命」と言えるような切手が無いときには、
交通関係や日本車の切手をチョコチョコ「つまみ食い」しています。ここ2年くらいは、「本命」と言えるような切手に当たっていたりするので、
つまみ食いはあまりしていませんが。